ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ ポッジョ・アッレ・ムーラ 1998

バンフィ社はこのモンタルチーノに、約800haのブドウ畑を含む、広大な土地を所有し、創立以来、土壌の分析、ブドウ栽培法の研究、土着品種であるサンジョヴェーゼ種のクローン研究、樽材や醸造法の研究を行ってきました。伝統的なブドウ品種はもちろん、カベルネ・ソーヴィニョン種などの国際品種も手がけ、世界中に優れたワインを輸出するビック・カンパニーとして名実ともに成功を収めているトップクラスのワイナリー。

トスカーナ州の中心部に位置するシエナ県モンタルチーノ市は、サンジョヴェーゼ種から造られるD.O.C.G.赤ワイン『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ』の産地として世界的に有名な地域です。

モンタルチーノの自社畑において、自然環境と土壌の個性を色濃く反映したブドウから造られるプレミアム・ワインのブランド。夏は乾燥し、冬は多湿で、昼夜の温度差が激しいという、最適な環境で育ったブドウからは、長期熟成に耐えうる、優れたワインが造られます。

バンフィ社と聞くと、少しでも同社のワインをご存知の方はまず何を想像するだろうか。
もし『商業主義的な大量生産』というイメージなら、生産本数や敷地面積などの規模の大きさに関する情報だけが一人歩きした結果かもしれない。

『実際のところ、我々はモンタルチーノに2830haの土地を持っており、ブドウ畑だけで850haある。年間生産本数は1000万本を超える。だが、より多く生産するほど質が落ちるという考えは全くのナンセンスで、誤った考え方だ。』と、はっきりと言ったのは社長のエンリコさん。
『数を多く造ろうとすると通常は管理が行き届かなかったり、それぞれの畑への執着が弱くなり質が落ちるが、我々が追求し続けているのは、高品質を保ちつつできるだけ多く造ることだ。』
高品質なワインを造るためのバンフィ社ならでのこだわりの数々をエンリコさんが語ってくれました。

【クローンの研究】
1983年、ミラノ大学と共同でブルネッロ・ディ・モンタルチーノ用のサンジョヴェーゼ種の研究を始めた。まずモンタルチーノの非常に広範囲にわたるブドウ畑を分析し、そこに600種類以上のサンジョヴェーゼクローンが存在していることを突き止めました。(ブドウの場合のクローンとは一つのブドウ品種の中でのさらに細かい品種分類のようなものであり、遺伝子操作や科学的な品種改良とは異なります。)
この中から良質かつサンジョヴェーゼの特徴を良くあらわしていると考えられるサンジョヴェーゼのクローンを15種類選別。そしてさらに、この15種類のクローンを何年にもわたって様々な畑で栽培し、ついに彼らの畑の土壌に最も適した3種類クローンに行き着いた。そしてそれぞれの持つ特徴を組み合わせ、酸や渋味などのバランスを取って補完させ合いながら、サンジョヴェーゼ100%のブルネッロ・ディ・モンタルチーノが造られます。

【ブドウ選別】
手摘み収穫の際に選果は行いますが、ワイナリーに着いた後に選果台の上で再度人の手による入念な選果を行います。選果台をクリアしたブドウは房から外され粒だけの状態になる。そしてベルトコンベアで流れつつ光学センサー付きカメラで色・形を瞬時に自動画像解析によりチェックされ、基準に満たない粒は空気銃のようなものではじかれ、不良果が混ざらないようになっています。

【樽材】
バンフィ社は木樽(小樽)をそのまま買うのではなく、ただのオーダーメイドでもありません。フランスに樽の原料となる木材を買い付けに行き、カットの仕方も指定。カット済みの木は一旦バンフィ社に運ばれ、天日干しに。雨ざらしになることで余分なタンニンが抜け、求める状態に仕上がったら樽加工業者に送り組み立ててもらうという、簡略化して書いてもいかに手間と労力がかかることなのかが伺えます。

その他、木樽の縦置き発酵槽の上部と下部のみがステンレス製になった“ホライゾン・システム”は、バンフィ社が樽メーカーとともに特許を取っており、木とステンレスの長所を組み合わせた新システム。

これ以外にも、彼らのように熱意と規模を兼ね備えていなければできないようなこだわりが、まだまだあります。

非常に温厚で落ち着いた物腰のエンリコさんは自身を持ってしっかりとした口調でこだわりについて語るが、それについての慢心は微塵も感じさせません。
『こういった様々な新技術を取り入れているとすぐにモダン派の造り手と呼ばれる。だが我々は、センセーショナルな新技術をただ導入して伝統的手法を否定したいわけではない。 経験によってしか成し得ない、ワイン醸造の素地を作ってきた先人たちに敬意を払いつつも、一旦定着した伝統的な造り方が本当に最高なのだろうかと疑問を持たなければならない。土壌と気候、品種の組み合わせや酵母の質など、研究や改良ができる点は畑ごとに常に存在する。こうすればもっと良いブドウができるのでは、と思いついたら、時には大規模なテストになっても、失敗を恐れずにまずは試すことにしているんだ。いつかそれが、誰も疑いを持たないスタンダードになっているかもしれない。』

もし本当にスタンダードになったとしても、きっと彼らは満足しないだろう。より良い手法を見つけて後世の人たちにとっての新たな良き伝統となれるよう、歩みを止めない。バンフィ社のような明確な哲学があれば、『大量生産=低品質』は成り立ちません。

モンタルチーノ丘陵にそびえ立つバンフィの本拠地、ポッジョ・アッレ・ムーラ城周辺に広がる単一畑。ここは1967年の生産者組合設立当時にブルネッロ・ディ・モンタルチーノの栽培面積の約4分の1を占めていた歴史ある畑でもあります。バンフィは設立当時より所有しているこの畑から、30年もの歳月を掛けた土壌と品種研究の集大成として、1997年にこのワインを生み出しました。

収穫されたワインはステンレスと木樽を組み合わせたホライゾン発酵槽で27〜29℃で12〜13日間マセラシオンとアルコール発酵を行います。その後90%をバリック、10%をスラヴォニアン・オークの大樽で熟成。ボトリング後さらに12ヵ月の瓶内熟成を経てリリースされます。

ブラックチェリーなどの黒系果実の香りが力強く印象的。タバコ、スパイスやハーブのニュアンスも。味わいはしっかりとしたタンニンにエレガントな酸が調和しリッチな印象。余韻に僅かに残る黒トリュフのエッセンスがアクセントとして現れ、このワインにより複雑性を与えています。ブルネッロらしいクラシカルなスタイルが堪能できる1本です。

【ブドウ品種】 サンジョベーゼ・グロッソ
型番 ITABNF-04(バンフィ)
在庫状況 在庫 1
販売価格
24,300円(内税)
購入数