シャトー・ムートン・ロートシルト 1990

温暖な冬の天候を受けて、植物生育サイクルは早めのスタートを切りました。萌芽は品種に応じて3月7日から3月17日の間に記録されています。3月および4月は寒く、5月には高い気温が観測されています。変わりやすい天候のもとで早めの開花を迎え、それでも花の時期はゆっくりと進みました。

開花中間期は、メルロおよびカベルネ・フランは5月21日、カベルネ・ソーヴィニヨンは5月26日に記録されています。6月および7月は乾燥した月でした。8月はほとんど猛暑というべき極めて暑い天候が続き、乾燥傾向が継続します。着色は開花同様、早期に始まり長期にわたりました。着色中間期は、品種に応じて、8月3日から8月11日の期間に記録されています。一部のブドウに関しては、果実の成熟進度は不均質でした。

未熟な房を除去する作業を行うことで、収穫のポテンシャルはかなり向上しました。衛生状態は完璧で、ブドウは色素もたっぷり含んで極めて上質に熟しました。9月には好天が続いたことで、理想的な熟度で理想的な収穫作業を進めることが出来ています。

明澄度の高い、輝きのある外観。レンガ色の光沢。香りに関しては、表現豊かに開いており、黄タバコ、ジビエ、非常に心地よいミネラル系のノートを含んだ熟成したアロマが楽しめます。味わいは、アタックは柔らかく、徐々に魅力が増していきます。上質でなめらかなタンニンの織り目の質から、この年のムートン・ロスチャイルドは熟成のピークを迎えていると思わせます。果実の香りはむしろ控えめで、漬け込んだ果実、オードヴィー漬けプルーンのようなノートが口いっぱいに広がります。後味には優れた酸味と軽さが楽しめます。

ラベル作品担当:フランシス・ベーコン(1909-1992)
ダブリン生まれのイギリス人画家。競走馬の訓練師であった父は、息子の趣味や資質を支え励ますことはほとんどありませんでした。18歳の時に家を出て、パリで開かれた展覧会で初めてピカソ作品と出会います。家具・内装デザイナーとしてスタートし、1929年頃から絵画制作を始めます。この時期の作品としては、初期作「磔刑」(1933年)のほかはほとんど残されていません。

独学でアートを学び、1945年頃、『キリスト磔刑図のための3つの習作』によって、ようやく独自のスタイルを確立したと言えます。この作品は、1953年にはテート・ギャラリーが購入を決めています。
その後は、ベラスケスの『イノケンティウス10世の肖像』や『戦艦ポチョムキン』の乳母の叫び、アイスキュロスの『オレステイア』など、西欧の架空人物らを参照し、根本から変容を加え、彼独自の世界感にはめ込みました。

変わらぬ信頼関係にあったマルボロ・ギャラリーとは1958年に契約を結び、1962年にはテート・ギャラリーにて初の回顧展が開催されています。1971年のパリ・グラン・パレでの展覧会をはじめ、複数回にわたって大規模な展覧会が催されます。賛否両論を呼ぶ一連の代表作が生み出された時代です。自画像、友人らの肖像画、人体の習作。それらはしばしば三幅対(トリプティック)で描かれています。

自らの芸術作品のブルジョワ化と栄誉に浴することを頑なまでに拒み続けたフランシス・ベーコン。彼が同世紀を代表する絵画アーティストとして広く評価されるようになるのは、実に1985年にテート・ギャラリーで開催された回顧展によってです。

どの学派にも属せず、ベーコンの作品には、裸体、肉感、男性の性的強さが表現されています。恥辱的とも言える孤独に包まれ、誕生や苦痛のスパズムによりねじ曲げられた画風。ミステリアスな薄気味悪さ。彼自身、『私には微笑みが描けない』と語っていました。

ヴィヴィッドかつ平坦に色づけされたバックに、筋肉質の肢体が伸びます。変形ミラーに映し出されたオブジェのような線が描枯れています。幾何学的描線の網に巻かれ、広がりは一切ありません。出口のない空間は、古典的悲劇であると同時に、現代世界の生きづらさでもあります。

ワイン愛好家であり、おそらくワインによる陶酔感をこよなく愛したベーコンは、1990年ムートン・ロートシルトのワインラベルを担当。ワイングラスを囲むように、奇妙かつ衝撃的な肉体モチーフが描かれています。

【ブドウ品種】 カベルネ・ソーヴィニヨン 81%、カベルネ・フラン 10%、メルロー 9%
型番 BORCMR-04
在庫状況 在庫 1
販売価格
90,500円(内税)
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